例文に連番を自動的につける方法(Word 編/OpenOffice.org Writer 編/一太郎編)

本記事はCreative Commons License「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示-非営利」にて公開します。どうぞご利用下さい。(09/05/09)

  • 更新履歴
    • 09/05/09 ライセンスを定義
    • 09/03/09 Word編の注の追記と整理
    • 09/02/20 微細な字句変更
    • 09/02/01 「概要」の追加; Word 編の微細な手直し,Tips2 の追加
    • 09/01/31 公開

目次

  • はじめに
  • 概要
  • Word 編
  • Openoffice.org Writer 編
  • 一太郎
  • 枝番としてアルファベットを使う場合(Word・OOo Writer・一太郎 共通)
  • まとめ
  • 補足

はじめに

言語系のレポートや論文では

(1) ぼくは学生だ。
(2) ぼくが学生だ。
(3) 学生はぼくだ。

のように例文にどんどん番号をつけていって,本文で

(3)の「は」は……

というふうに言及するんだけど,これを作るのは実にメンドイ。途中に例文を追加したくなると,

  • そのあとの番号を全部振り直し,
  • 本文で言及しているところも全部変える

必要があるからである。
こんなことこそ機械にやらせればいいのだが,あいにくあんまりメジャーな機能じゃないので,どうすればいいかいまいち見当がつかなかったり,やってみてもなかなかうまくいかなかったりして,結局「手作業でいいや」とあきらめてしまう。ネットを探すとやり方が書いてあるサイトもあるが,やけに高度だったりしてそれはそれでつらい。連番だけでいいから端的にやり方を示してくれないか。
……という人は多いと思うので(多いんです!),ここに最も単純と思われる方法を紹介します。これを使えば不毛な作業から解放されます。超便利ですよ!
※もし以下の方法を利用した結果なんらかのトラブルが起こったとしても筆者は責任を負いません。そんなに危険なことは全然してないですが。ただ,いきなり論文/レポートの本番ファイルに使うのはおすすめしません。少し練習してからの方がいいです。

概要

  • Word,OpenOffice.org Writer,一太郎のそれぞれについて,
    準備/連番の入力/連番の参照/例文の追加
    の方法を述べます。
  • 以下では,例文に付いた(1),(2),……の番号を「連番」,本文で「(3)は……」などと言及している部分の(3)という番号を「連番の参照」と呼ぶことにします。

Word 編

私が最近のバージョンを持ってないのでやむを得ず2000の画面で説明しますが,2003と2007に対して一応フォローをしています。

準備
  • 「ツール>オプション>表示」(2007:「Office ボタン>Word のオプション」)
    「フィールドコード」を常に網掛けにするようにしておく▼

連番の入力
  • 「挿入>フィールド」(2007:「挿入>テキスト>クイック パーツ>フィールド」)
    フィールド欄(2003・2007では[フィールドコード]ボタンを押すと出てくる)に次のように入れて[OK]*1
SEQ 図 \* Arabic

  • 連番の番号が入力された。網掛けになっているのは,これが「フィールド」という特殊な領域であることを意味する。(2)以降はさっき入力した(1)をコピペでOK▼

  • コピペした時点では同じ番号になりますが,全選択して[F9](フィールドの更新)を押すと,選択した範囲のフィールドが更新され,番号が振り直されます。
連番の参照

(3)を参照するとします。

  • 「挿入>クロスリファレンス」(2003:「挿入>参照>相互参照」,2007:「挿入>リンク>相互参照」)
    「参照する項目:図」,「クロスリファレンスの文字列:番号とラベルのみ」にして,参照したい番号を選んで[挿入]▼

  • これで連番参照が入力される▼

  • 括弧が片側だけ一緒にくっついて挿入されますが,実害はないのでそのままいきます。閉じ括弧は自分でつけたしましょう。

ここで挿入された(3)は連番の(3)とリンクしていて,連番の方の番号が変わるとこちらも更新されます。

例文を追加する
  • 途中に例文を追加して,最後に「全て選択して[F9]」すれば,連番が振り直され,連番参照も更新されます▼

Tips1: 注意! やってはいけないこと
  • 連番の開き括弧の直前に何かを入力する

これをやると,フィールド更新をしたときに連番参照のほうにもその文字列が付いてしまいます。改行もダメです。例文の直前に空行を入れたい場合,その例文の行頭ではなく前の行の行末にカーソルを置いて[Enter]です。

Tips2: こんな表示になってしまったら(09/2/1追記)

表示が下図のようになってしまった場合。何かの拍子にフィールドの中身をそのまま表示するモードになってます。[Alt]+[F9]で元に戻ります。


Openoffice.org Writer 編

Openoffice.org 3.0.0 で説明します。

準備
  • 「表示>灰色のバックで強調*2」にチェックが入っていることを確認▼

連番の入力
  • 「挿入>フィールド>その他」。「変数」タブを開き,「フィールドタイプ:連番」「選択:テキスト」「書式:アラビア数字」および「章ごとの番号付け:なし」を選択して,[挿入]▼

  • これで連番が入力される(「フィールド」ダイアログボックスは開いたままでも文書への入力が続けられますが,「閉じる」で閉じて構いません)▼

  • (2)以降はコピペでOK。自動的に番号が変わっていきます。
連番の参照

(3)を参照するとします。

  • 「挿入>相互参照」。「フィールドタイプ:テキスト」,「選択:(3」,「参照を挿入:番号」を選択して,[挿入]▼

  • これで連番参照が入力される▼


ここで挿入された(3)は連番の(3)とリンクしていて,連番の方の番号が変わるとこちらも更新されます。
OOo Writer の場合,連番と連番参照が見た目ではまったく区別がつかないので注意。

例文を追加する
  • 途中に例文をつけたすとそのあとの連番や参照はすべて自動的に変わります▼


一太郎

一太郎2008で説明します。

準備
  • 「表示>画面表示設定」で,「文字枠」の「区別のための下線を表示」にチェックが入っていることを確認▼

連番の入力

一太郎は「挿入」メニューの一等最初に「連番」,その下に「参照」があります。すごい!

  • 連番の書式がいろいろ選べますが,標準ではいいのがないので作ります。書き換えてもいいもの(ここではf.)を選んで「詳細設定」▼

  • 「書式」を下図のようにする。アンダーライン付きの半角「1」は「数字種類」から選ぶと入力される*3。「親連番」が「なし(独立)」になっていることを確認して[OK]▼

  • 「連番」ダイアログのf.が「1」に書き換わったのを確認したら[OK]▼

  • これで連番が入ります。青い下線が連番の印▼

  • (2)以降はコピペでOK。自動的に番号が変わっていきます。
連番の参照

(3)を参照するとします。

  • 「挿入>参照>連番」で参照したい連番を選んで[OK]▼

  • これで連番参照が入力される。緑の下線が連番参照の印▼


ここで挿入された(3)は連番の(3)とリンクしていて,連番の方の番号が変わるとこちらも更新されます。

例文を追加する
  • 途中に例文をつけたすとそのあとの連番や参照はすべて自動的に変わります▼

連番に縦中横は設定できません

縦書きでは,連番機能自体は問題なく使えますが,バージョン2008現在 連番に対して縦中横が設定できないため見苦しくなってしまいます。


枝番としてアルファベットを使う場合(Word・OOo Writer・一太郎 共通)

(1) a. ぼくは学生だ。
    b. ぼくが学生だ。
    c. 学生はぼくだ。
(2) 鯨は哺乳類だ。

こういうふうに,「枝番」としてアルファベットを使う場合があります。このアルファベットは自動化できなくはないと思いますが,手入力と割り切るのが賢明です。
で,こういう連番を参照するときは(1a)(1c)などと書くのがスマートかと思うのですが,もうお分かりのとおり,連番参照の右側を")"の代わりに"c)"などとすればいいだけです。図はWordの例▼


まとめ

そういうわけで,便利な機能はちゃんと備わっているのだった。ものは試しなのでやってみて下さい。
これは論文・レポートの分量が多ければ多いほど威力を発揮します。例文をどんどん足したり引いたりしても大丈夫。今年卒論の人は使ってみてはいかがでしょうか。
ただし多少の練習は必要なので,暇なうちに遊んでみるのがいいです。
それと,上記で分かるとおりWordはやや面倒。「番号とラベルのみ」じゃなくて「番号のみ」があれば余計なこと考えずにすむのだが,最近のバージョンではあったりするのだろうか。もっといい方法がありましたらコメントで教えてください。

補足

  • 各ソフトウェアとも「準備」のところの設定が変わっていると,連番や連番参照が普通の文字と区別がつかなくなってしまって困ります。ちなみに網掛けや色つき下線は画面表示だけで,印刷には現れません。
  • 連番はコピペでできますが,連番参照の挿入は基本的に,いちいちダイアログボックスを出して参照先を指定します(同じ番号を再び参照するときはコピペでOK)。多少手間ですが,番号づけを全部手作業でやる苦労に比べたら大したことないです。

*1:これはおまじない。説明省略。(09/03/09追記)なお,例文は図ではないので,ここで「図」を指定するのは本当はよろしくない。以下の手順の簡略化のための便法(「例文」とかにすると相互参照ダイアログにでてこないんです)であることをお断りしておく。

*2:この項目,これだけじゃ意味わかんないよな……

*3:括弧もつければ連番と同時に自動入力されますが,その場合は開き括弧のみにすることをおすすめします。閉じ括弧まで含めると,「枝番としてアルファベットを使う場合」で紹介する(1c)のような形の連番参照が作れません。