仮設の方が住み良いという被災者

3月のこと、柄にも似合わずテレビで「ザ! 鉄腕! DASH!!」を見る機会があった。なんでも「DASH村」は福島県浪江町にあるらしく、多くの人が被災して仮設住宅に移っている。その中で、番組が以前から世話になっているという70歳くらいの男性のコメントが面白かった。「こっち(仮設住宅)のほうがいいよ」と事もなげに言うのである。およそニュースなどでは取り上げられない類の発言だが、実際のところ私はこのコメントの意味が何となく分かる。田舎の家は不便なのだ。段差が多くて年寄りにはつらい、無駄に広い、気密性が低くて冬は寒い、下水道やガスの設備が古い。そういう点では、むしろこぢんまりした仮設住宅のほうが便利だ。こういう意見は報道では当然のように捨象されるのだなと改めて思った次第。