Excel方眼紙が悪いわけではない
Excel方眼紙が悪いのではなく、日本文化に適した文書作成ソフトウェアが事実上ない、ということが悪い。確かに表計算ソフトをあのような形で使うのはおかしいと思う。しかし、たとえExcel方眼紙を使っていたとしても、必然性のある表組みがされ、抜け漏れ・重複がなく、1ページによくまとまっている資料がわかりやすいことに変わりはない。つまり単純に手段の問題。
ワープロ専用機の罫線機能は紙に鉛筆で線を引くような感じで使えたので、線の組み合わせで複雑な表組みも作りやすかった。表組み文書が発達した背景にはそういうことがあると推測される。対するWordの罫線機能は、実態としてはn行×m列の表を作る機能である。つまり最小単位は罫線ではなく、あくまで表。込み入った表を作るには一度最小公倍数的な表を作ったあと線を消したりする必要があり、考えるのも面倒だしあとから修正するのも大変。おまけに周りの文字に影響されて表がまるごと次のページにピョコっと動いたりする。そんなのを使うよりはExcel方眼紙の方が簡便である(私は決して使いたいわけではないが、それでもWordよりはマシ)。Excelなら図が文字とは別レイヤのようになっていて、好きなように配置できて扱いやすいというのも利点の一つ。これもWordとは対照的だ。
実は罫線がワープロ専用機のように引けるソフトウェアとしては「一太郎」がある。さすが国産である。世のExcel方眼紙文書の何割かは一太郎化した方がいいと思うのだが、ソフトウェア自体がメインストリームではなくなってしまった。一太郎は個人的にも好きなので残念である。
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余談。Excel方眼紙を使いたくなる心理には、義務教育時代に使った「模造紙」のイメージも影響しているように思う。模造紙がExcel方眼紙と共通している点は以下の通り。