野崎昭弘『不完全性定理——数学的体系のあゆみ』

不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)
野崎昭弘『不完全性定理——数学的体系のあゆみ』(ちくま学芸文庫)野矢茂樹『無限論の教室』(講談社現代新書)を読んで以来、私はこういった話題が好きで、本書も興味を持って読んだ。野矢氏は哲学方面からのアプローチだったが、こちらは「超数学 metamathematics=数学それ自体を数学的に分析・研究する学問」からみたアプローチである。話は古代ギリシアから始まり、「公理と証明」で数学の体系が厳密に構築されていくさまが述べられる。野崎氏はまた、証明をコンピュータにやらせるということを研究しているらしく、その話もたびたび登場した(私はあまり興味が持てなかった)。
最終章でいよいよ不完全性定理が登場するのだが、どうも急に難しくなって弱った。それまでの議論がどのように生かされるのかがよく分からず、入門書にしては説明不足ではないかと思うところも多かった。しかし内容としては野矢氏前掲書より踏み込んだものになっているので、ちょっともう一度読んでみようかなと思っている。