山田詠美『色彩の息子』

色彩の息子 (新潮文庫)

色彩の息子 (新潮文庫)

読了。短編集。12の作品それぞれにテーマの色があって,色紙でできているページが1枚ずつ入っている。主人公も男女が交互になっていて,凝った作りである。人間のダークサイドをひたすら克明に,こうも真正面から書かれると,読んでいてひりひりとした痛みすら覚える。人間って怖いな,と思う。「顔色の悪い魚」が,地味ながら好みである。最後の「蜘蛛の指輪」は夢に出てきそうだ。