山田詠美『蝶々の纏足・風葬の教室』
- 作者: 山田詠美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/02/28
- メディア: 文庫
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「こぎつねこん」は内容的には消化不良気味か。でも,実は私も幼いころ似たような感じだった。子守歌を聴かせられると決まって泣いていたらしい。どうやら短調のメロディーが悲しくて不安な気持ちになるという理由だったようだ。子守歌ってなんで短調が多いのかな。
「風葬の教室」はですます調が苦手なので未読。
沢山の水滴はきらきらと輝き,彼女の頬を滑っている。けれど,その美しい涙は私にもう魔術をかけたりはしない。それは綺麗過ぎるのだ。もし唇で吸い取ったとしても,軽いだけの塩味に,人は幻滅するだろう。味わいを持たない体液なら,いっそ意志を持たない雨の粒の方がどんなに人を気持良くさせることか。(「蝶々の纏足」,p.75)