情報を捨てるインタフェース

現代は大量の情報が流通する時代だが、それは客観的に見た場合の話であって、情報を処理する人間の側から見ると、捨てるべき情報がどんどん増えている社会といえる。情報を捨てる、というのは言うだけならたやすい。しかし斜め読みという行為にある種の苦痛を感じる私のような人間もいるわけで、そういう人は、たとえばTwitterでいうなら意図的にフォローを絞るなどしてなんとか流量を調節している。それでもフォローしたいアカウントは増えるもので、取捨選択というまことに贅沢な悩みを抱えるのである。できれば、たくさんフォローした上で、総量から適当に間引かれた情報を見たい。これから必要になるのは、自分の目で情報の取捨を判断するという面倒と、「捨てる」というネガティブな行為とを回避するインタフェースではなかろうか。Facebookには「ハイライト記事を先に表示」という機能があり、これはちょうどその役割を果たしている。ポストを適当に捨てるというネガティブなことを、「ハイライト記事」というポジティブな表現にしているのがうまい。情報の取捨選択などということは新聞だってやっているが、個々人のタイムラインから間引くというのは案外まだ行われていないことじゃないかと思う。