森見登美彦『恋文の技術』

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)
森見登美彦『恋文の技術』(ポプラ文庫)読了。京都の大学から能登の実験所に行かされた大学院生がいろいろな人に手紙を書きまくる話。全編手紙だけで構成されているので散漫な内容かと思ったがそんなことはなかった。非常に巧みである。こういうのを書簡体小説というのだそうだ。全体としては恋文の技術というより悪態の技術とでもいったほうがいいだろう、やれ「悪のグローバルスタンダード」だの「阿呆のパイオニア」だのと斬新な罵詈雑言が繰り出されて胸のすく思いがする。脇役としては、主人公・守田の妹がいい味を出していた。私も守田妹に本質を突かれてみたいものだ。登美彦氏の小説はどれもロマンチックで好きである。そしてやはり猫ラーメンが食べたい。京都に行ったらぜひとも下鴨神社界隈の屋台を探らなければいかんな。

実益のないことがしたいのです。(p.117)

(2011/09/26記)