松屋の店内放送にみる東京方言の形容詞のアクセント

久しぶりにアクセントの話でもするか。
松屋で今流れている店内放送で

この辛さを(カ[ラサオ),体感してみてください。*1

というフレーズがあって,私は牛めしを食べていてぎょっとした。[カ]ラサ,じゃないの。つまり 起伏型形容詞+「さ」 が平板化(無核化)を起こしているのだ。その結果, 平板型形容詞+「さ」(例,甘さ ア[マサ) と同じ音調になっている。これは時々耳にするが,ちゃんとした放送で聞くのはおそらく初めてである。しっかし何でもかんでも平らにするなあ,この辺りの人は。
ちなみに東京方言の形容詞のアクセントは相当揺れていて,たとえば 起伏型+「く」 では

  • 高くて [タ]カクテ, タ[カ]クテ
  • 短くて ミ[ジ]カクテ, ミ[ジカ]クテ

さらに「なる」が続くと

  • 高くなる [タ]カクナ]ル, タ[カ]クナ]ル, タ[カクナ]ル
  • 短くなる ミ[ジ]カクナ]ル, ミ[ジカ]クナ]ル, ?ミ[ジカクナ]ル

と3通りくらいあったりする(いずれも一番左が伝統的な形; 「短くなる」の3つめは少ないか)。

*1:[のところが声の上がり目(]が下がり目)。「傍線式」で書けば カラサオ