シェイクスピア『ロミオとジュリエット』
- 作者: シェイクスピア,中野好夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/12
- メディア: 文庫
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ところでこの中野好夫訳*1は昭和26年11月の発行で,かなり古めかしい。マキューシオなどは江戸っ子風に訳してあって,なんだか不思議な感じがする。でも地口が日本語にちゃんと置き換えてあってすごい。
読んでいて吹き出しそうになったのが以下の部分。乳母(Nurse)のセリフで,原文は
Come Lammas-eve at night shall she be fourteen.
http://shakespeare.mit.edu/romeo_juliet/romeo_juliet.1.3.html
Susan and she--God rest all Christian souls!--
Were of an age: well, Susan is with God;
これが
[...]お嬢様が十四におなり遊ばすのが,ちょうど,
その八朔の晩でございますよ。そう申せば,私の娘のスーザン――やれやれ,ナムアミダブ,ナムアミダブ――
あれがちょうどお嬢様と同年でございましてね。ああ,あれも神様のお召しに与りましたが,
(pp.36-37)
ナムアミダブて! 日本人か!
巻末の訳者解説も結構面白かった。当時は無背景の舞台で演じられ,そのぶんセリフの詩に聞き入る感じだったらしい。セリフが詩情たっぷりなのはそのため。それと,当時は女性の役はすべて声変わり前の少年俳優が扮していたらしい。知らなかった。
*1:そういえば中野訳のスウィフト『ガリヴァ旅行記』(新潮文庫,asin:4102021019)はかっこいい翻訳なのでおすすめである。